手の届くところにあるロボット

Universal Robotsの協働ロボットがバイエルのGrants4Techロボット競技会で優勝、複雑な作業を解決

作成者: Jacob Pascual Pape|2018/09/04 10:04:52

多国籍製薬企業バイエルは、現在すべて手作業で行われている、きわめて複雑なプロセスを自動化するソリューションを探していました。それは、特定の容器内の密封された袋から取り出した粉末サンプルの品質管理であり、バイエルの工場では一日数百回行われている作業です。バイエルは、このプロセスのロボットソリューションを世界中から募集しました。具体的には、特別に開発されたソフトウェア制御により、粉末の詰まった数多くの格納容器の封緘用プラスチックストリップを取り外し、格納容器の蓋を開封し、容器内部の袋を開き、特殊な針で粉末サンプルを取り出してから容器を密閉し、ストリップを元のように縛る、というプロセスです。
これを15分のサイクルタイムで完了させなければなりません。

この難題にチャレンジしたのは、イタリアの合同チームLAIALでした。LAIALは自動測定と品質管理のターンキーソリューションを提供する技術の「仕立屋」Loccioni社とイタリア技術研究所(IIT: Istituto Italiano di Tecnologia)の2社が結成したチームで、Loccioni社は独Schunk社のグリッパーと、独IDS社のカメラ(2Dと3D)を装備した2台のUR10協働ロボット(コボット)を使用したロボットプラットフォームを開発し、IITは繊細な切断、グリップ、マニピュレーションを行うツールを開発しました。

こうして、イタリアのアドリア海岸アンコナに拠点を置く企業と、地中海岸ジェノバの研究機関がそれぞれの得意分野を生かして協力した結果、最優秀賞を受賞しました。
どのようにして課題を解決したのか見てみましょう

 取り扱う材料の性質――粉末の細かさやビニール袋の破れやすさ――と、非常に高い精度、信頼性、再現性が求められることを考えると、サンプリングのプロセスは繊細な手順であり、人間の作業員と違って対象物を自分から知覚することができない点さえクリアすれば、各段階で高度な精度と再現性を発揮できるロボットでの自動化は理想的といえます。

 

LAIALのアプリケーションにURの協働ロボットを活用すれば、狭い空間で防護柵を設けることなく、ロボットを人間の作業員のすぐ近くで稼働させることができます。しかも、UR協働ロボットはクリーンルーム認証を受けているので、最高水準の清浄度を要求される環境においても使用できます。

IITには人間の作業の分析および疲労を軽減する生態模倣ロボットコンポーネントの設計に関わる知見があり、Loccioni社には産業の現場にロボットソリューションを統合・設置するノウハウがあります。
これらを組み合わせることで、LAIALチームは他のチームに打ち勝って、40,000ユーロの優勝賞金を獲得しました。

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