手の届くところにあるロボット

時は薬なり

作成者: Universal Robots|2017/11/01 3:43:49

 …ロボットを使って必要な作業を軽減!

 

医療業界は、品質と性能に関しては最高の基準を満たす必要があります。この基準は、その時の法律や規範によっても絶えず変化します。そのため、工程に組み込まれたツールは、関係者全員が簡単に操作できるようにすることが求められます。この業界で協働ロボットが活躍できるのは、作業用途が変わっても工程のレイアウトを変更することなくロボットを容易に再配備できるからです。つまり、医療業界は協働ロボットを導入することで、変化に対する適応力を向上させ、ユーザーにとって重要な要素である、時間の余裕を生み出しました。デンマークのゲントフテとポーランドのクラクフにある病院で、協働ロボットが成果物を適切な場所にできるだけ早く到達させるためにどのように役立っているかをご紹介しましょう。

デンマークの事例では、ゲントフテ大学病院の経営陣が血液サンプルを選別するプロセスを自動化する経済的な方法を探していました。このソリューションでは、実験室の限られたスペース内で作動し、実験技師が随時介入できるようにする必要がありました。さらに、スタッフを増員することなく有効な速度基準を維持し、同時に、血液のサンプル数を20%増加させる必要があるという課題がありました。唯一の有望なソリューションは、協働ロボットアームを使用することでした。

2台のUR5ロボットアームを実験室に組み入れることを決定した重要な判断基準は、それらが備える安全面の機能でした。リスクアセスメントが無事に完了すると直ちに、それらのロボットを安全柵なしで完璧に作動させることができました――ゲントフテの実験室には、安全柵を設置するスペースがなかったのです。「私たちは、サンプルをすばやく取り上げてそれを分類し、分析用の各モジュールに挿入するという目的を満たす、完全に安全で使いやすいソリューションを探していました。Universal Robotsのロボットはこれらの基準をすべて満たしていたのです」と、ゲントフテ大学病院のSteen Stender医長は述べています。

 

まず、1台目のロボットがサンプルを取り上げて、それをバーコードリーダーに置きます。次に、サンプルのネジ蓋の色を撮影するカメラから送られるデータ入力に基づき、サンプルをどこに落とすべきかを認識します。次は2台目のロボットの出番です。このロボットの仕事は、遠心分離機と分析機にサンプルを詰め込みます。このようにして3000個のサンプルが毎日処理されています。この手順を自動化することで時間が節約され、スタッフは単調な仕事から解放されます。Stender氏はこのソリューションに満足し、次のように述べています。「私たちのスタッフはこのロボットに夢中になっています。(中略)その上、今では患者のサンプルを1時間以内に分析できるようになったので、外来患者も病院まで何度も足を運ぶ煩わしさがなくなりました」

 

しかしながら、医療分野でのロボットアームの応用は、これが最終地点ではありません。ポーランドのクラクフにあるAGH科学技術大学では、UR5ロボットの0.1ミリメートル単位の繰り返し位置決め精度とほとんどすべてのツールを搭載できる使いやすさから、肝細胞を人体に移植する作業にこのロボットを利用しています。もうひとつの用途は細胞増殖抑制剤の混合です。これはきわめて毒性の高い処置であるため、通常であれば人体にとって非常に危険な作業場所となりますが、UR5は作業員を危険性の大きい作業から解放し、より危険性の低い仕事に従事できるようにしました。

「協働ロボット」が引き受けることのできる潜在的な用途はまだあります。例えば、産業研究所での耐久試験でロボットを使用する場合、時には動作が百万回にも及ぶ試験実施中に安定した動作を継続できることが重要になります。ロボットは作動している間、力の微細な増大や減少を記録し、必要であれば試験を停止させます。また別のケースでは、加工中の製品や容器などの器具の洗浄が完全に細部まで、かつ臨床的衛生状態を保ちながら行われることが決定的な品質判断基準となりますが、その場合にもロボットは対象物のどんな小さな箇所でも洗浄することができます。ロボットには保護カバーが装備されているので、クリーンルームのような環境にも適合し、消毒や洗浄も容易にできます。

このようにロボットアームの新しい応用分野は千差万別ですが、これらの事例は私たちの将来の職場に関して2つの展望を示しています。ひとつは、多大の時間を要する単調な、あるいは潜在的に危険な仕事(現在も将来も必要な仕事)に人間の貴重な労力が費やされることが次第に少なくなること、もうひとつは、医療分野やその他の産業において高い精度が要求され、失敗すると取り返しのつかない結果となる作業工程――例えば手術――が、人間では決して達成できない精度と信頼性で行われるようになることです。それが実現すれば、私たち一人一人にも利益がもたらされるでしょう。